「子供っぽい」ってダメなこと?

 

「子供っぽいこと言ってないで」

 

ときどき、母が私に言う言葉。

 

今朝も、言われた。

 

あるちいさな出来事があって

 

「弟は、さみしいと思うよ。

だから、お母さんが、もっと電話とかしてあげたらいいと思う」

 

と言うと、母はちょっと怒ったように

 

「子供っぽいこと言ってないで」と。

 

 

母は、誰よりも弟のことを気にかけている。

 

あんなこともしてあげたい

こんなこともしてあげたいと

いつも思っていることを

私は知っている。

 

弟の笑顔は、母の何よりのよろこび。

 

だけど、言葉には出さない。

 

表に出さない。

 

してあげたいと思っているのに

 

弟に面と向かって出てくるのは、

 

もっとこうしなきゃ

 

こうでなきゃ

 

っていう言葉ばかり。

 

弟も、毎回そうだとちょっとうんざり。

 

そして、弟がちょっと電話に出なかったり

かけ直してこなかったりすると

さみしそうにそのことを話しながら、

私に「たまには電話してあげて」

「気にかけてあげて」という。

 

本当は、母が一番電話をしたいのに。

 

ときどき、母のしたことに

弟がすごくよろこんでいたり、

弟と話をして

いつものようにお説教せずに

一緒に何かを喜んであげたら

弟がよろこんでいたことを、

少女のように

うれしそうに話してくれる母を

私は知っている。

 

 

母は、弟を

「男の子だから」

といって、厳しく育ててきた。

 

小学校3,4年生のとき、

 

「母は、なぜ弟にあんなに厳しいのだろう」

 

と思っていた。

 

同じことをしても、わたしには

あんなにきつく叱らなかった。

 

自分がしたことが

あれほど叱られるほど

ダメなことだったんだ。

 

でも、弟はあそこまできつく叱られて

私はそんなにきつく叱られていない。

 

弟がかわいそうで、弟に申し訳なくて、

母に聞いてみたことがあった。

 

「なぜ、私にはあんなにきつく怒らなかったのに

弟には、あんなに怒るのか」と。

 

その時の母の言葉は、

 

「男の子だから」

 

「長男だから」と。

 

 

理由はわからなかった。

 

だけど、

 

男の子であること

 

長男であることで

 

こんなに

 

厳しく叱られなきゃいけないんだ、という

 

暗く、重く、得体のしれない何かが

 

私を埋め尽くしたのを覚えている。

 

 

あまりに厳しかったときは

泣きながら、やめてほしいと母にたのんだことも

何度かある。

 

なぜ、母はこんなに弟に厳しいのだろう?

 

そのときはわからなかった。

 

でも、今ならわかる。

 

あのとき、母は、弟に厳しく叱りながら

こころでは泣いていたこと。

 

母は、素直ではない。

 

私が筋金入りのあまのじゃくだったのも

母ゆずりだろうと思う。

 

 

「子供っぽい」

 

 

「子供っぽい」ってどういうこと?

 

いけないこと?

 

そんなこと言っちゃダメなこと?

 

 

 

でも、ひとつだけわかることがある。

 

母には、「子供っぽい」ことが必要なんだってこと。

 

子供の頃に

 

「子供っぽい」ことを十分にしていないから

 

「子供っぽい」感情を十分に味わっていないから

 

だから、今

 

味わう必要がある。

 

 

大人になるには、

 

ちゃんと「子供である自分」を経験しないと

 

大人にはなれないのだ。

 

 

今さら、、、

 

なんて思うかもしれないけど、

 

今、十分に味わわないと

 

ずっと大人にはなれない。

 

 

 

だって

 

子供から、

 

ひとつ、ひとつ、階段を上って、

 

初めて、

 

大人になれるのだから。

 

 

 

いつも憎まれ役を買ってでる母。

 

そして、いいところはいつも人に譲る母。

 

そうしてずっと今まできた不器用な母に

 

自分の素直な気持ちを表現するよろこびを知ってもらいたい。

 

 

 

「子供っぽいこと言ってないで」

 

母には、また言われるかもしれないけど 

 

言い続けていこうと思う。

 

 

 

 

私も、

 

「こんなこと思うなんて、なんて子供っぽいんだろう」

 

「あー、またやっちゃった。。。」

 

って思うこと、たくさんあります。

 

いえ、しょっちゅうです。

 

そんなとき、

 

去年までは、

 

自己嫌悪で埋め尽くされていました。 

 

今は、自己嫌悪にはならなくなったけど

 

相変わらず、手を焼きます。

 

でも、

 

「子供っぽい感情」を十分に

 

味わわないと

 

大人にはなれない。

 

 

今日は、そう気づけたから

 

今度から

 

子供っぽい感情の私を見つけても

 

大人になるために成長してるんだと思って

 

許してあげようと思います。

 

 

そして、きっと

 

「子供っぽい感情」は

 

自分の「素直な」感情の表れ。

 

 

「子供っぽい」、

 

自分の「素直な」感情を

 

十分に味わって

 

自分の好きな大人になっていきたい

 

そう思います。