贈るよろこび

 

「20種類も入ってたよ」

 

時々、94歳の叔母のところへ、小包を送る。

 

お惣菜や甘いもの、おせんべいや果物。

 

いろんなものを混ぜて詰める。

 

すると電話で

 

「今回は、20種類も入ってたよ」と。

 

叔母は、珍しいものをよろこんでくれる。

 

珍しいものといっても、

いろんなものが身近にあって

すぐ手に入る私たちにとっては

日常のもの。

 

でも、田舎暮らしの叔母にとっては、

すべてが珍しい。

 

20種類の珍しいものを目にして

叔母はよろこんでくれる。

 

箱に詰めながら、ありがたいな

といつも思う。

 

贈りたいと思う人がいること。

 

その人がよろこぶ顔を想いながら

贈る準備をするよろこび。

 

「どれを一番よろこんでくれるかな?」

 

「明日は、なんて言ってくれるだろう?」

 

「これ、きっと好きだろうなぁ」

 

そんなことを想いながら

箱に詰めるよろこび。

 

それは、贈りたいと思う人がいるから。

 

贈るよろこびをくれる人がいるということ。

 

ありがたいなぁと思う。

 

明日は、叔母はなんて言ってくれるだろう。