「私のお父さんみたい」

 

「私のお父さんみたい」

 

中国のインターン生、スージー

 

最近、ますますオシャレになって

可愛い服を着ている。

 

今日も、素敵なワンピースを着て

私の部屋にランチの誘いに来てくれた。

 

あいにく、今日の私は

とてもお腹が空いていて

早々にお昼を済ませていた。

 

「じゃぁ、私がランチ終わったら

一緒にミントチョコを食べましょう」

 

そう言って、ルン♫と

向こうへ行きかけた彼女の後ろ姿を見て、

思わず呼び止めた。

 

「スージー!ちょっと待って!」

 

その服、どうなってるの!?!?

 

後ろにスリットが入っていて、

背中が半分以上見えてる上に、

アンダーも見える。

 

しかもそのスリット、

背中の途中から下にかけて

大きく広がっている。

普通と逆だ。

 

「スージー、うしろのボタン外れてない?」

と聞くと、笑いながら

「こんな服なんです」と。

 

見ると、たしかに何もついてない。

ただ、スリットが逆に入っているだけ。

 

いや、確かに可愛いワンピースではある。うん。

それは認めよう。

でも、それでは、オフィスで気もそぞろになる人続出だ。

それに道中も気になる。

 

「アンダーも見えてるよ」

 

そう言う私の言葉に、彼女は、カラカラ笑う。

 

「ほら、これで留めるのはどう?」

 

机の引き出しの中から見つけた

安全ピンを取り出して見せると

彼女は、いっそうカラカラと笑いながらも

私に背中を向ける。

 

この服が着心地が良くて、

気に入ってること、

可愛い袖のデザインのこと、

そんな話を聴きながら

安全ピンで背中のスリットを

合わせて留める。

 

よしっ、うまくいった。

外から見ても留めてることがわからない。

 

「いい感じ!これで安心したわ(笑)」

 

そう言うと、彼女は

 

ちょっとうれしそうに

 

「私のお父さんみたい」と。

 

ええ、きっとそうね。

 

あなたのお父さんやお母さんの心境だわ(笑)。

 

ランチから帰ってきたスージーから、

 

「さっきはありがとう」

 

の言葉と、素敵なアイスクリームのプレゼント。

 

 

今日も素敵な笑顔をありがとう。