初めて見る漢字、初めて知る考え

 

「この日本語、知ってる?」

 

所長が、帰り際に部屋に入ってきて

おもむろに紙に書き始めた。

 

「玄同」

 

初めて見る漢字。

 

初めて見ます、と伝えると

 

「妻が言うには、

『何でもよく知っていて賢人であるのに、

何もしゃべらず、バカなフリをすること。』

それが美徳らしい。」

 

へー、そういう意味なんだ。

 

「カナダには、そんな考え自体がないから

妻がビックリしてた。

日本にはあるのか?」と。

 

カナダでは、この考え自体が存在しないんだ。

奥様にとっては、初めて知る考えの存在だったんだ。

 

所長の奥様は、カナダ人。

所長は、アメリカ人。

 

日本では、この考え、そんなに珍しいことではなく、

よく見かけますよね。

 

確か、この間、中国人インターン生の

スージーと話していた時も、この考えが

中国にもあることを感じたっけ。

 

初めて見る漢字ではあったけど、

探してみると、語源は、どうやら

「知者不言、言者不知。(知るものは言わず。言うものは知らず)」

で始まる老子の言葉みたい。

 

どおりで、スージーの文化にもあるはずだ。

 

今まで存在しなかったコンセプトを持った言葉に出会ったとき。

 

私には、そんな経験がない気がするけど、

きっと衝撃的なんだろうなぁ。

 

奥様にとっては、初めて知る考え。

私にとっては、初めて見る漢字。

 

異なる文化に触れるって面白い。