散歩しながら

 

 

所長は、いつもお昼休みに公園に散歩に行く。

 

今日は、私も参加してもいいかと聴くと

とても歓迎してくれた。

 

何か話があるのは、気がついているのだろう。

 

公園の中を歩きながら、

思っていること、感じていることを

そのまま話す。

 

すると、所長も感じたことを話してくれる。

 

所長は、とてもオープンで、

いつも直球、しかも剛速球のコミュニケーションをとる。

 

最初は、その剛速球を受け止められず、かなり凹んだ。

 

でも、だんだん知るうちに、

それが所長のスタイルであり、

こころは、そこはかとなくあたたかい人だと気づいた。

 

私の話す言葉に、相槌を打って聴いてくれる。

 

「話してくれてありがとう」

 

そして

「今まで考えたことのなかった視点だ」と言った。

 

それはそうだろう。

 

私も、今回の話で、所長に理解を示してもらおうと

思っていたわけではない。

 

今まで、ずっと持ち続けていた感覚。

でも、何も示せるものがない。

今まで言えずにきた。

 

今回、確信に近い強い感覚があった。

だから話そうと思った。

でも、確かにそうだと示せるものはない。

所長が、私の感覚だけをもとに判断するとは

思っていなかった。

 

でも、言葉を続ける。

 

いくつか所長が質問をする。

 

答える。

 

そうして言葉を重ねていく。

 

「私に何ができる?」

 

何かをしてもらいたい

と思っていたわけでもない。

 

こうしたいと思うが、

それでいいかどうかを確認する。

 

必ずしも、同意や理解があるわけではない。

 

いつもの剛速球も飛んでくる。

 

それでも、そのままお互いの言葉を重ねていく。

 

すると、あるとき

さっきと違って、少し歩み寄って

いることがわかる。

 

さらに、言葉を重ねる。

 

すると、また少し歩み寄る。

 

歩きながら、言葉を重ねる。

 

歩きながらだと、そのままの言葉が出てきやすい気がする。

 

最初は、離れた場所を歩いていても、

言葉を重ねることで、いつしか少しずつ

理解が歩み寄っていることに気づく。

 

歩きながら、言葉を重ねる。

 

不思議な力を感じた一日でした。