個性は面白い!

 

「私にも個性があるし、彼にも個性がある。彼は面白いわ」

 

今までずっと電話とメールでやりとりしていた彼女。

 

仕事の依頼をして、「ありがとう」というと

いつも「No, No. そんなこと言わないで。私の仕事なんだから」

と言う。

 

サバサバしていて、潔くて面白い。

 

ずっと会いたいと思っていた。

 

カリブ出身という彼女は、想像していた通りの明るさで

盛大に歓迎してくれた。

 

一緒に仕事をしていると、彼女の携帯が鳴る。

 

どうやら、子供が通う小学校の先生かららしい。

 

電話を切るなり、

 

「ねぇ、私の息子、しばらく日本で面倒見てくれない?」

 

という。

 

何かあったのかと聞くと、

 

「私の可愛い息子は、学校のルールと行儀を身につけるべきなのよ。

本の学校で、それを身につけさせたいの」

 

どうやら、なにか悪さをして、先生から電話があったらしい。

 

明日、学校に呼び出されたのだと言う。

 

生活費と学費は送るから、息子を日本の学校に通わせてほしいという。

 

「ねぇ、エリザベス、どう思う?

私、真剣なのよ。すごくいいアイデアだと思わない?」

 

冗談なのはわかっているけど、

それをまんざら冗談でもない様子で

同僚に同意を求め、私に詰め寄るジェスチャーが面白い。

 

そんな彼女とのランチ。

 

明日の会議後のレセプションに、

彼女の同僚の日本人男性が、なぜか参加しないと言っているらしい。

 

その理由は、よくわからない理由なのだが

彼らしい理由とも言える。

 

なかなかよくわからないところで、主張をするので、

一風変わった人だと、周りからは思われている。

 

時には、辛辣に批判する人もいる。

 

そんな彼のことを、彼女は、面白いという。

 

偏屈な彼も、彼女と話す時は楽しそうだ。

 

「私にも個性があるし、彼にも個性がある。彼は面白いわ」

 

そう言って、楽しそうに笑う。

 

偏屈さも、頑固さも、風変りさも、

彼女にかかれば、どんな人も、その人の個性として面白がれる。

 

そして、実際、偏屈で、頑固で、風変わりだと思われている人も

彼女の前だと、不思議と楽しい人になれるのだ。

 

どんな人の特徴も、個性として受け止め、

コミュニケーションを楽しみ、

相手を楽しくさせる。

 

個性は面白い、という視点。

 

あなたに会えてよかった。