残りものに福☆

 

95歳の叔母の家に行く日は、

いつも仏さんとお墓のお花を買って帰る。

 

地元の農協がやっている市場には、

新鮮な野菜や果物、たくさんのお花があって

見ているだけでも楽しい。

 

市場の入り口には、少しスペースがあって、

時々、遠くは九州や北海道からの農作物を持ってこられている。

 

今日は、美味しそうな福岡の「あまおう」苺。

わぉ!買っていこう!

と思ったら、その隣に長蛇の列。

焼き芋だ!

いい匂いがしている。

 

叔父が大好きだから、

というか、私も大好きだから

買っていきたいところだけど、

今日は、先を急ぐ身。

 

しかたないか。

苺を買って、お花を選んで、

和え物が好きな叔母に

菜の花を買って、市場を出てきたら、

さっきまであった長蛇の列が消えている。

 

ラッキー!

迷わず

「3つください」

と言った。

 

すると、石焼きの向こうにいるおじさんが

ちょっとむずかしい顔。

 

するととなりにいたおじさんが、

「あ~、こげてるなぁ」

 

「すまんなぁ、もう売り切れたんや。

今あるのは焦げてて。」

 

「もう100円でええわ。

焦げてるとこ、取って食べてよ~。

すまんなぁ」って。

 

どれくらい焦げてるのかわからなかったけど、

1本100円を3本100円。

 

いいよいいよ。

焦げを取って食べたらいいんだから。

 

「すまんなぁ。」

 

そう言ってくれるおじさんに、

 

「ありがとう!」

 

と言って車に乗り込んだ。

 

車の中は、石焼き芋

いい匂いで、すぐにいっぱいになった。

 

ほかほかの石焼き芋

 

着いたら、あったかいうちに食べよう。

 

叔母に着くなり、事の始終を話して

新聞紙に包まれたお芋さんを開けてみると、

サツマイモが5本も入っていた。

 

しかも、焦げと言っても少しだけ。

 

叔母も、

「5本もくれて、その上『すまんなぁ』って言ってくれるんかぇ」

と朗らかに笑った。

 

ほんとにそうだね☆

 

お昼ご飯の後に食べたその石焼き芋は、

今まで食べた中で、一番美味しい焼き芋でした^^☆