涙と笑いのジェットコースター

 

「五月晴れの清々しいお天気の中、

こんな暗闇の中へ、よくおいでくださいました」

 

そんな言葉から始まった今日の舞台。

 

初めて知った演目で、どんなのだろうと思っていたが、

 

最高、だった。

 

2部のための1部が丁寧に構成されており、

それぞれ違う2つの物語が

全体を通じて、しっくりと一つにつながる。

 

時折織り交ぜられる

その人の温かい眼差しの解釈が涙を誘う。

 

こらえきれないほど涙があふれてくる。

かと思えば、

次の瞬間、笑いがおこる。

そして、また涙。

 

泣いたり笑ったり、それが間髪入れずに起こるから

もう泣いてるのか笑ってるのかわからなくなって

顔がぐちゃぐちゃだった。

 

鼻をすする音があちこちで聞こえ

笑う時は大爆笑。

 

ジェットコースターのように泣くのと笑うのが交互にやってくる。

 

1300人みんな、わたしと同じ、顔がぐちゃぐちゃになってただろう。

 

2時間近くこんなにも泣きっぱなしだったのは、

小学生の時に見た小象物語以来だ。

 

私が予約した1分後には売り切れていたチケット。

 

この奇跡の舞台に出会えたことに

感謝せずにはいられない。

 

国宝だと思う。

 

8年間ずっと同じ演目を演じ続けていても

毎年違う気づきがあると言う。

 

延べ3万5千人が見ているというこの舞台。

 

ご本人は、同じ演目ばかりで

もうそろそろお客さんも飽きてるんじゃないか

替えないといけないんじゃないか

そう思われているそうだが、

今日も1300人の満員のホールには

毎年楽しみに来られている人がたくさんいるのではないかと思った。

 

終わってから、近くのカフェで、もらったパンフレットを見ていると

アンケート用紙が入っていた。

 

お店の人に、

 

「5分ほど席を空けます」

 

そう言って、

 

「次の年も、その次の年も、またその次の年も

ずっとこの演目を続けてほしい。

来年も来ます。」

 

と書いたアンケート用紙を手に、劇場に戻った。