人の目を、
「美しい」
と思ったのは、彼が初めてだった。
静かに
まっすぐに見つめる瞳の中に
小さくキラキラ光る輝きがあった。
ジャングルの王者のような
まっすぐな輝きを持った目だ。
彼のような目をした人になりたい
そう思った。
今の職場で働き始めたころ、
もっぱらやり取りは、ナイロビ本部の同僚たちだった。
わからないことは、いろんな人に聞いた。
その中でも、彼の説明は、群を抜いて
いつも簡潔で、クリアで、丁寧で
落ち着きがあった。
次第に、私は、
彼に一目置くようになった。
部署が替わり、一緒に仕事をする機会がなくなっても
時々連絡をくれ、博士論文の執筆中は、よく励ましてくれた。
難関の試験をパスし、
昨年は、とある機関のトップになったと連絡をくれた。
控えめな彼は、私が聴くまで言わなかったのだけれど。
4年ぶりに会って。
彼の目は、
シャープな輝きを増していた。
私は、彼の目に近づけているだろうか。