「教えない」に秘められた愛
「なぜ、人は教えてしまうのか?」
先日、高橋政史先生のセミナーで、出た問いです。
もし、あなたが、人から相談されて
「この人の悩み解決してあげたい」とか
「なんとかしてあげたい」とか
「いいアドバイスしなきゃ」
と思っているなら、絶対外してはいけないポイントがあります。
それは、
決して「教えないで」ください。
なぜか?
その人が自分で解決する力を奪ってしまうから。
先日のセミナーで、「なぜ、人は教えてしまうのか?」という問いについて
話し合う機会がありました。
私は、「なんとかしてあげたいと思うから」「求められているから」と言うと、
隣に座っていた友人は、「うーん」と言って考え込みました。
「ちょっと違うのかな?」と思っている間に、ディスカッションの時間が終わり、再び講義へ。
休憩時間になったとき、カウンセラーであるその友人が「さっきの質問について考えてたんだけど、
カウンセリングでは、「求められている」けど、「なんとかしてあげたい」けど、
絶対に教えないんだよ」と。
カウンセリングに来る人は、助けてほしい、なんとかしてほしいと思って、
カウンセラーの先生のもとを訪れます。
でも、カウンセラーは、「求められていても」、教えない。
その人のことがわかっていても、答えがわかっていても、教えない。
そのかわり、ただひたすらに「質問する」。
その人が自分で気づくまで「聞く」と「聴く」を繰り返すのだと。
「人は、なぜ教えてしまうのか?」という問いに対し、高橋先生は
「教えないとできないだろう」という前提があるから教えてしまうのだ、と仰いました。
だから、「教えなくてもできる」という前提に変えよう、そうでなければ、
その人が自分で解決する力を奪ってしまうから、と。
カウンセラーの先生も、「教えなくてもできる」と思って、カウンセリングをしているのです。
友人の言葉は、私の中での「あたりまえ」を完全にひっくり返してしまいました。
人は、相手が「できる」と思って話をしてくれているかどうかを敏感に感じ取ります。
「できる」が前提の人と接すると、頭と心が自由になります。
「こうしなきゃ」「こうでなきゃいけない」と思っていたカチカチの頭と心が、
自由になって、ポジティブな選択ができるようになるのです。
「こうしてみようかな」
「こんなことでもいいんだ」
「とにかくやってみよう」って。
もし、あなたが
「この人の悩み解決してあげたい」とか
「なんとかしてあげたい」とか
「いいアドバイスしなきゃ」と思っているなら、
決して「教えない」こと。
そして、相手が「教えなくてもできる」の前提で、話を聴いてみて下さい。
あなたが大切にしたい人は、あなたの温かさを心の奥底で感じ取り、
必ず「できる」ようになりますから。