日本人のDNA

 

2年前に、右脇の下の手術をしてから

97歳の叔母の右手は、ほとんど動かない。

 

食事をする時は、スプーンとフォークを

左手で持って食べる。

 

叔母は、時々

 

「スプーンで食べたら美味しないなぁ。

お箸で食べられたらなぁ」

 

ってつぶやく。

 

そんな叔母が今日、

お箸をしげしげと見つめながら

 

「お箸ってようできてるなぁ。

お箸ひとつでなんでもできるもんなぁ」

 

って、つぶやいた。

 

確かに。

 

お箸文化以外の国では、

スプーンやフォーク、ナイフがあり、

それがさらに細かく、

ティースプーンやテーブルスプーン、

お魚ナイフやお肉のナイフなどに分かれている。

 

それが、お箸ひとつで

ほとんどのことができる。

 

そして、ふと思い出した。

 

イギリスでフランス料理の学校に通っていたとき、

一人のシェフの先生が、

 

「僕の知り合いのシェフで

『日本の料理人は、

ナイフを1本しか持ってないんだ。

ナイフ1本で何ができるっていうんだ』

 

っていう人がいたけど、

僕は、ナイフ1本で、

繊細な日本料理から家庭料理まで、

あれほど多彩な料理が作れる日本の料理人は

すごいと思うよ」

 

って言っていた。

 

私は必要最小限のナイフしか揃えなかったけど、

確かに、入学前に学校から配布された

揃えておくとよいものリストの中には、

10種類以上のナイフがあった。

 

そんなことを思い出していると、

さらにまたずっと昔に読んだ海外の人が書いた

記事を思い出した。

 

日本が経済大国と呼ばれるようになったのは、

地下資源が少なかったから

 

という記事。

 

え!?

 

って思った。

 

でも、読んでみると、

自国にもつ地下資源が少なかったからこそ、

資源に頼らず、どうしたら成長できるかを考え、

 

あるものを最大限に活かし、

経済大国と呼ばれるようになった

という内容の記事に、ひどく感動した。

 

箸は、中国から伝わったらしいが、

包丁は、やはり限られた資源で、

万能に使える1本を作り、

 

その1本を最大限に活かす

料理法や技術が考えられて、

ユネスコ無形文化遺産として

認められるほどの和食が

発展したのかもしれない。

 

なんて、想像を巡らせていたら

 

日本人って、めちゃめちゃスゴイ!

 

って、ものすっごい感動した。

 

 

限られた資源を

 

あるものを

 

最大限に活かす

 

日本人のDNA。

 

私の中にもきっとあるはず。

 

これから磨いていこうと思う。