涙してくれる人がいること
「〇〇さんは、何になりたいとか
小さい頃の夢ってあったんですか?」
不意にキックボクシングの先生が聞いた。
「漫才師になりたかったんです♬」
先生が笑う。
小さい頃の話もしながら、
なんで漫才師になりたいと思ったのか
そんな話をしていた。
それから、
ダンベル・ベンチプレスに入って
先生が頭元で、ダンベルの持ち上げる高さと
腕を引き下げる角度をチェックしてくれてると
シュン
って音がした。
先生、鼻が出てきた?花粉症だった?
そんなことを思っていると
2,3回先生の鼻がシュンシュンなった。
ベンチプレスが終わって、
私がインターバルをとってる間に、
先生は、ティッシュで鼻をチーンってかんだ。
え?
もしかして
涙?
幼少期の先生と私はよく似ている。
しゃべらない、笑わない、喜怒哀楽を表さない。
そんな先生の思い出と
重なったのかもしれない。
初めてのこと。
私の話を聴いて、
涙してくれる人がいること。
なんだか
なんて言っていいかわからない
不思議なあったかい気持ちになった。