台風が来ると

 

台風のため、JRをはじめ、私鉄がほとんど運休するとの

ニュースが昨日から流れた。

 

今日は自宅勤務。

 

昼過ぎ、いよいよ台風が近づいてきた。

 

風が窓を揺さぶる。

 

窓から外を見ていると、白いものや黒いものが

宙を舞い、飛んでいく。

 

その数が次第に増え、

南から北へ、飛び去っていく。

 

網戸が引き剥がされそうな強い風。

 

近くで、何かがぶつかる音、倒れる音もする。

 

だんだん、雨も激しくなってきた。

 

横なぐりの雨が、

雨吹雪のカーテンになって

目に見えるようになった。

 

幾重にも重なり

南から北へ、次から次へと押し流されていく。

 

次第に、大きな雨粒が窓ガラスを覆い、

外が見えづらくなってきた。

 

家の中で台風が過ぎるのをじっと待っていよう。

 

こんな時は、母の言葉を思い出す。

 

母は、台風が好きだ。

 

誤解のないように言うと、

ある条件を備えた台風が好きだ。

 

それは、子供たちが好きな台風。

 

学校に行けないくらいの強さだけど

大きな被害の出ない台風。

 

母は、8人兄姉の末っ子。

 

といっても、上の方の兄や姉と一緒にいたのは束の間。

 

兄や姉は、市内の高校へ行くために下宿に出たからだ。

 

両親は、朝から晩まで山や畑に出る。

 

学校から帰ってきても、一人ぼっち。

 

でも、台風の時は、みんな家にいる。

 

ひとつの部屋に集まって、みんながいる。

 

母は、そんな時間を作ってくれる台風が好きだ。

 

今日は、どうしているのだろう。

 

あとで電話してみよう。