屈託のない笑顔

 

地下鉄からの出口にガラスの押し扉。

 

両手に2つのシェイクとコンビニの袋を持った男子が

先に扉を開けた。

 

うしろから近づく私の気配に気づいたのか

おぼつかない足でドアを押さえてくれる。

 

ありがとう

 

地上へ上がる階段を上り、向かった先は

偶然にも同じビル。

 

エレベーターに先に乗り込み、

またシェイクを持った手で

行き先階を押してくれる。

 

「7階ですね。

僕、8階なんですけど、8階は美容室なんです。

今度、是非来てください」

 

屈託のない笑顔に

爽やかな風がふわっと吹いた。