お誕生日おめでとう

 

私の父は、もう定年退職しているけど

銀行員でした。

祖父も銀行員。

母も、父の兄妹も銀行員でした。

 

大学時代に就職先を考え始めたとき、

「銀行に行ったらいいんじゃないか」

と言われました。

 

でも、堅物の父をいつも見ていて

「あんな堅物にはなりたくない!」

と思って、銀行のことは、まったく頭にありませんでした。

 

そうして、銀行とは違う業界に就職をして

念願だった留学をし、帰ってきてから

新しく就職先を探しました。

 

そのとき、ふと

「家族が働いている銀行を経験してみるのも

いいんじゃないか」

そして、働くなら、祖父が働いていた

あの古代ローマ風の遺跡のような建物で働きたい。

 

そう思い始めて、あっという間に

祖父の働いていた銀行のあの建物で

働くことに決まりました。

 

働き始めて、父や祖父がなぜあんなに堅物なのか

初めて理解できた気がしました。

 

「こんな大変な仕事をずっとしてるんだなぁ」

 

父は、会社に行く前、毎朝、お腹を下していました。

 

定年退職して、朝、お腹を下すこともなくなりました。

 

私は、父は堅物で、どうしようもなく頑固で

わからずやだとずっと思っていました。

 

でも、退職して、何年かして働いていた時の感覚が抜けてきたときに

父は、人をよろこばせることが、すごく好きな人なんだと

初めて知りました。

 

こんなに細やかな優しい気遣いをする父を見て、

そして、そう表現はしないけど、

相手がよろこんでいるのを見るのが

とてもうれしそうな父を感じて、

これが、本来の父の性格なんだと

初めて気づきました。

 

父は、銀行に勤めてしあわせだったんだろうか。

 

そう思って、父に聴いたことがあります。

 

「お父さん、銀行に勤めてよかったって思う?」

 

「まぁ、そうやろな。文系でいったら、銀行員か弁護士かやもんな」

 

高度経済成長期。

 

人々の価値観は、ある意味、一つの方向を向いていたのかもしれない。

 

父が、よかったと思っているなら、よかった。

 

それでも、本来の父の姿を最近まで出すことができなかったこと、

そうまでしても、銀行で働いてくれたこと、

 

「ありがとう」

 

 

今は、身体を大事にすることが一番の仕事なんだから、

毎日深呼吸して、身体をいたわってね。

 

そして、本来のお父さんらしく、

お母さんと楽しい毎日をつくってね☆

 

いつも、ありがとう。

 

そして、

 

お誕生日、おめでとう。