しあわせな朝食

 

今年の5月頃、

友人がFacebook

予備校に通う娘さんが

毎朝作ってくれる朝食の写真を

アップしていた。

 

和洋中と、毎日

いろんな朝食の写真がアップされる。

 

見ているだけでも

しあわせになる朝食。

 

そんな朝食を見ているうちに、

私も毎日しあわせになる朝食を

意識するようになった。

 

今朝、朝食を取りながら

窓の外の美しい景色を見ていると、

 

あぁ、しあわせだなぁ

 

という想いが湧き上がってきて、

また涙があふれてきた。

 

そのとき、先程私をテーブルに案内してくれた

レストランのスタッフの人が

私の左側にあるテーブルの食器を片づけに来た。

涙を見られたくなくて、

その人が視界に入る左側から

右側の窓の外の景色に顔を向けた。

 

すると、不意に

 

「まぶしいですか。

ブラインドを閉めましょうか」

 

という声と共に、その人が視界に入った。

 

顔を見られないように

顔をそむけたのに、

まさか声をかけられるなんて。

 

声を詰まらせながら、笑顔で

 

開けておいてください

 

と言うのがやっとだった。

 

 

今思うと、

私がまぶしいから

見る景色の方向を変えたと

思ってくれたのだろう。

 

その人も声をかけて

驚いただろうと思う。

 

でも、次の瞬間

その人から発せられる空気が

ふっとやわらかくなって、

軽く会釈をして、また

隣のテーブルの食器を片づけに戻った。

 

私もまた、太陽の光が照らす

空と雲と海の輝きに目を向けた。

 

しあわせな朝食の時間。

 

しばらくして

ふと振り返ると、ゆったりとした足取りで

こちらの方に歩いてくる先程の人が視界に入った。

 

「コーヒーいかがですか?」

 

私の空間を邪魔しない、

そんな気遣いの感じられる静かなトーンの声が

私の斜め後ろから聴こえた。

 

お願いします

 

静かにコーヒーが注がれる

 

温かいコーヒーを頂きながら見る

キラキラと輝く空と海。

 

 

世界は、

 

やさしさと思いやりで

 

満ちている。

 

 

今日のしあわせな朝食の時間を

 

ありがとう。


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