惹きつける共通点

あなたは「小さな空」という歌を聞いたことありますか?

 

武満徹という作曲家が作詞・作曲した歌で、来月のライブ用の楽譜が届くまで、

別の曲をやりましょうと先生が手渡してくれた曲でした。

楽譜を見ると、旋律も歌詞もシンプルで、ライブ用の楽譜が届くまでの束の間の練習には

ちょうど良さそうな曲だと思いました。

「ちょっとやってみて」と先生。

シンプルな旋律と歌詞なので、初めてだけどいい感じ、と思って歌ってると、

途中からなんとも言えない感情が湧き上がってくるのを感じました。

 

歌い終わって「すごい歌ですね」と言うと、先生も「そうでしょう」と。

先生がリサイタルなどで歌うと、一番問い合わせが多い歌なのだそう。

 

「小さな空」武満徹 作詞・作曲

あおぞらみたら わたのようなくもが

かなしみをのせて とんでいった

いたずらがすぎて しかられてないた

こどものころを おもいだした

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この小さなシンプルな歌がなぜ、人をこれほどまで惹きつけるのでしょうか?

 

誰もが経験したことのあるような風景の描写。

でも、この描写の奥には、人それぞれに広がる世界がある。

シンプルな言葉が、どこまでも人それぞれの世界を広げていくことを許容しているよう。

そして、言葉には出てこないけれども、その風景にしっかりと存在している大切な人。

風景だけを見せて、大切な人の顔を思い浮かべながら、あとは極めて自由に、その人と自分の

ストーリーを歌って下さい、聞いて下さい、と一人一人に委ねている。

武満徹は、この歌の完成を私たちに託したのでしょう。

なんだか方眼ノートのようでもあります。

 

「小さな空」と方眼ノートの人を惹きつける共通点。

それは、ラインが引かれているだけで、あとは極めて自由に自分のストーリーを描いて

完成させること。

そしてそこには、必ず、大切な人を想う気持ちがあること。

 

あなたは「小さな空」を聞いて、どんな感情が湧いてきたでしょうか?

 

 

 

 

 武満徹

武満 徹(たけみつ とおる、1930年10月8日 - 1996年2月20日)は日本の作曲家。ほとんど独学で音楽を学んだが、若手芸術家集団「実験工房」に所属し、映画やテレビなどで幅広く前衛的な音楽活動を展開。和楽器を取り入れた『ノヴェンバー・ステップス』によって、日本を代表する現代音楽家となった。(中略)
1966年のNHK大河ドラマ源義経』の音楽においては邦楽器はオーケストラと組み合わされている。これらの映画や映像のための音楽での試行実験を踏まえ、純音楽においても邦楽器による作品を手がけるようになった。その最初の作品である『エクリプス』(1966年)は琵琶と尺八という、伝統的な邦楽ではありえない楽器の組み合わせによる二重奏曲である。この『エクリプス』はアメリカで活動中の小澤征爾を通じてニューヨーク・フィル音楽監督レナード・バーンスタインに伝えられ、このことから、同団の125周年記念の作品が委嘱されることとなった。こうしてできあがった曲が、琵琶と尺八とオーケストラによる『ノヴェンバー・ステップス』(1967年)である。この作品を契機として武満作品はアメリカ・カナダを中心に海外で多く取り上げられるようになった。ーWikipediaより